妊娠・出産という大切な役割をはたす女性の体は、ホルモンのバランスが微妙に狂いやすく、冷え症、月経不順、月経痛、不妊症、子宮筋腫など、多くの病気や症状をおこしやすいものです。

　漢方で血の道症とか、ふる血、オ血（おけつ）などという「血」は、血液のほかに、体液やホルモンなども含めて考えます。この「血」の乱れを上手に整える方法が、漢方では昔から工夫されてきました。
現代のホルモン剤では苦手な微妙な調整も、的確な漢方薬を選用すれば、難しいものではありません。
少し根気をもって服用すれば、体調が整っていくのがわかるでしょう。
　女性の体の機能は２８才をピークに、年齢と共に下降していきます。自然の摂理を大切にする漢方で、上手に体をいたわりましょう。
 
 
 
こんな時に漢方を
  漢方は月経痛・月経不順をなくしてしまうことを目的にします。即効のある場合もありますが、一般的には３ヶ月をひとつの目安として効果を試せばよいでしょう。
副作用がなく、効果的です。
人参当芍散（にんじんとうしゃくさん）、当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）、桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）などがよく使われます。
 
  漢方は体の中から治します。少し根気がいりますが、徐々に改善されていきます。
きれいになってからも後戻りしにくいのは漢方の特徴のひとつです。
人参当芍散（にんじんとうしゃくさん）、当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）、加味逍遙散（かみしょうようさん）、桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）などを、ヨクイニンといっしょに飲みます。
 
  女性の貧血は月経をととのえればよくなることが多いものです。自覚しないくらいの軽い月経異常でも貧血をおこすことがあります。
人参当芍散（にんじんとうしゃくさん）、当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）、六君子湯（りっくんしとう）、補中益気湯（ほちゅうえっきとう）、四物湯（しもつとう）、高麗人参（こうらいにんじん）などが適する人が多いものです。
 
  この病気で問題になるのは、月経痛、月経過多、貧血などですが、どれも漢方で治りやすい症状です。続けて飲めば子宮筋腫が小さくなることもまれではありません。どうしても手術が必要な子宮筋腫は、あまり多くないものです。
桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）、桃核承気湯（とうかくしょうきとう）などがよく使われます。
 
  寿元堂薬局の経験では１年間くらいの服用で妊娠することが多いようです。場合によっては、女性だけでなく、夫婦で漢方薬を飲むとよいでしょう。
人参当芍散（にんじんとうしゃくさん）、当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）、温経湯（うんけいとう）、桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）、鹿茸大補丸（ろくじょうたいほがん）などから状態に適する薬を選用して続けます。
 
  女性の５人のうち３人は冷え症だといわれます。冷え症の人には月経不順や不妊症の割合が多くみられます。また肩こりや神経痛なども出やすくなります。
人参当芍散（にんじんとうしゃくさん）、当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）、温経湯（うんけいとう）、加味逍遙散（かみしょうようさん）、桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）などがよく使われます。
 
 
 
女性によく使われる漢方薬
虚弱な人は穏やかな作用で補い、充実した丈夫な人には強い漢方薬がよく効きます。
漢方は一時抑えではありません。体質と症状によく合った処方を少し続けてみましょう。
詳しいことは寿元堂薬局または、漢方の専門家によく相談してください。
とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう 
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
 体力が低下し、手足、ことに膝から下がひどく冷えて、食欲がなく気分が沈むような状態に用います。
 

 
にんじんとうしゃくさん
人参当芍散
 体質は虚弱で、貧血、冷え症、胃腸が弱く、めまい、肩こり、動悸などがあり、食欲がない人に用います。

 
とうきしゃくやくさん
当帰芍薬散
 貧血、冷え症で疲れやすく、頭重、めまい、肩こり、動悸などがある人に用います。女性の保健薬としても手軽に使われます。

 
かみしょうようさん
加味逍遙散
 イライラ、不安などの精神神経的な症状があり、頭痛、頭重、のぼせ、肩こり、倦怠感などがある人に用います。

 
うんけいとう 
温経湯
 冷え症で手がほてったり、唇が乾燥しやすい人に用います。

 
けいしぶくりょうがん
桂枝茯苓丸
 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせなどを訴えるときに用います。

 
とうかくしょうきとう 
桃核承気湯
 顔は赤黒く、便秘がちで、首 から上はのぼせるのに、手足は冷える人に用います。